月別アーカイブ: 2014年8月

窯の精査を続ける

今日も窯の精査を続けました。
昨日までには、残存した窯壁を断続的に三箇所ぐらいで確認していました。
その続きとして、窯内外の堆積を確認していくことにしました。
既に分かった窯の範囲を小区画に区分して掘っていきました。
断面を通して、土層の上下堆積状況が理解できるようになります。

DSCF0109

窯の外側は何層もの流土に覆われています。
その流土の一部は、窯壁の残した断面の上にのっているので、窯が崩れた後に流れてきたことが分かりました。

窯の北側では、二つの灰原を確認しました。
二つの灰原の間に、別の黄色い土層があるので、時代が異なっていることがわかります。
各層の上下関係を追求しながら、土層から出土した遺物を詳細に検討すると、
所属する年代も解明できるかもしれません。
今後の室内作業で更に詳しく情報が得られるようにしたいと考えています。

図面作業も進んでいます。
発掘調査の現場では掘削作業だけではなく、記録作業もあります。
一度掘り下げたら、堆積した土と遺物が二度と戻らないので、
文字、図面や写真で残さないと、情報を永遠に失われます。
ですから、きちんと記録しなければなりません。

今日は断面図を取りました。
土層を色と質から分けて、高さを測るレベルという機械で測定し、図面で記録しました。

DSCF0116

一日の作業で精神力と体力をだいぶん使いました。
今日も、研究室内の伝説の達人による料理を通して、元気を補給します。

DSCF0135
明日もがんばりましょう!

(R)

窯壁を追いかけて

本日は調査区1の窯と考えられる遺構をより明確に把握するため、掘り下げて検討しました。その結果、窯壁の痕跡も徐々に出していきました。

作業風景3

作業風景4

窯の輪郭が明確に出てきつつあり、まわりの土層との前後関係も明らかになってきています。これで窯や灰原などの形成過程を推測することができます。

薪を詰める焚口を出して、その付近から土器の破片が大量に出土しました。また出土遺物の整理作業で、水洗いをして土を取り除き、割れた破片を接合するといった作業をします。

焚口

発掘調査では大量の土が出ます。それは土嚢袋につめておきます。

ただし、多量の土嚢袋を散らかしておくと、あぶないので、整理整頓します。

きちんと並べて、思わず万歳。

土嚢

また、遺構を埋め戻してからでも遺構の詳細が確認できるように、記録用の図面をとります。本日は、北壁と西壁の断面図を作って、土層の前後関係や変わり目などを反映させました。

北壁断面3

最後に本日の調査で得た知見を共有するためのミーティングを行ないました。自分の参加していた作業だけでなく、他の作業区の進行具合を把握しなければならないので、毎日の終わりのミーティングが貴重な時間です。

ミーティング

本日で窯の平面形、規模がおおよそつかめてきました。

(J)

灰原の範囲確認

調査をはじめて、気づけば10日。

調査は刻一刻と進みます。

本日は、すすめてきた磁気探査のつづきを行なうとともに、

2基の窯と考えられる遺構の間に堆積している灰原の範囲と層位的な関係について検討しました。

磁気探査については、昨年度行なった範囲から

南方向に広げて、計測しました。

西山1号窯の南側から東側斜面にかけては、時期の異なる窯跡が存在する可能性があり、

その範囲を推測するためです。

本日で計測完了。

DSCF9855

磁気探査を行なっている様子

掘削作業からも大きな成果を得ることができました。

西山1号窯では2基の窯と考えられる遺構が発見されていますが、その間には灰原が広がっています。

本日は、この灰原の範囲を図面と写真で記録しました。

DSCF9894

灰原の範囲確認

DSCF9898

遺構の写真撮影

IMG_2652

手前が調査区1で、奥が調査区2。赤い楕円形の土の間に薄く黒い土層がひろがっていますが、それが灰原です。

そして、掘削作業を進めると、この灰原は調査区1で検出された窯の一部を掘り込んで、

形成されていることが判明しました。

そのため、少なくとも調査区1の窯の操業時に灰や焼成失敗品などが廃棄されたものではない可能性が考えられます。

各遺構の厳密な時期確定には、さらなる土層の検討や出土遺物の検証が必要ですが、

大きな手がかりを得ることができました。

宿舎に帰ると、秋らしく焼きナス。

DSCF9915

生活当番が作ってくれた絶妙の一品料理

ご馳走で体力も士気も高まりましたので、明日も頑張りたいと思います。

(J)

調査は進む

発掘調査中は1日屋外での作業ですので体力を使います。そのため朝ごはんは1日のエネルギーを充填するために本当に大切。

そして今日の朝ごはんには、昨日見学にお越しいただいた禹在柄先生から頂いた韓国のりを皆でおいしく頂きました。

禹先生どうもありがとうございます!!

DSCF9800

 

さて、本日は昨日に拡張した調査区で窯の輪郭を把握するため、調査区の精査をおこないました。

土の色・固さ・含有物に注意しながら、竹べらやスコップなどを使い土の境目を明瞭にしていきます。

 

DSCF9836

また、記録作業も開始しました。発掘調査では掘削作業だけではなく、方眼紙に出土した遺構を1mmの誤差なく図化するといった記録作業をおこないます。

この記録作業は発掘によって得られた情報を、後世まで残すための重要な作業です。

実は発掘調査では、この製図作業に多くの時間を費やします。掘って、遺物を検出して、はいおわり、、、というわけにはいかないのです。

通常、検出した遺構は写真や図面で記録していきます。今日はその内の平面図の作成をおこないました。

下の写真は、トータルステーションという測量機器を使い、基準となる座標から位置を測っているところです。

DSCF9831

不安定な天気が続きますが、調査完了まで体調に気をつけながらがんばっていきます。

なお、この調査では交通不便と安全面等を考慮して、現地での説明会は予定しておりません。
調査の詳細については、このブログを通じて詳細に発信していく予定ですので、
どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。(M)

磁気探査の日

今日は晴れの一日でした。
普通に遊びに出かけるときには晴れのほうが気持がよいですけど、発掘作業するときには逆に晴れより、曇りのほうがいいかもしれませんね。

西山1号窯には、現在の調査区以外の場所にも、表面採集で9世紀の須恵器が得られているため、
周囲に未知の窯がある可能性があります。
そこで、本日はその位置を確認するために、磁気探査を行ないました。

DSCF9740 DSCF9784
調査区の周辺に磁気探査をする範囲を設定し、測定位置を把握するために方眼紙のように小区画をつくりました。
測定結果によって窯の位置を推定することができます。
現在、検出されている2基の窯も、この磁気探査によって位置を推定し、うまく検出することができました。

お昼ごろには、韓国忠南大学校の禹在柄先生と研究室の福永伸哉先生がご来跡くださいました。

DSCF9759
激励の品とお言葉をいただき、これからも頑張ろうと思いました。

ちなみに、今日は磁気探査についてきた犬さんとも友達になりましたよ。
犬さんはしっぽをふって、ごきげんです。

DSCF9742 DSCF9788

なお、この調査では交通不便と安全面等を考慮して、現地での説明会は予定しておりません。
調査の詳細については、このブログを通じて詳細に発信していく予定ですので、
どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。

(R)

発掘調査の食生活

発掘調査で頑張っているみんな、毎日、元気の補給が大切です。
昼ごはんと夜ごはんはお弁当を食べて、朝ごはんと晩ご飯の一品は当番が順番に作っています。
料理を一緒に用意するときは、生活経験の異文化交流といったところ。

DSCF7970

朝ごはんは一日の力の根本ですから、ちゃんと食べないと作業できないですよ。

DSCF9673

現場についてから、お久しぶりの太陽がやっと顔を出しました。
木漏れ日が本当にきれいでした。

写真 1
拡張された調査区を掘り下げて、赤い土層が出てきました。

DSCF9693
窯の流土かもしれないので、その発見にみんなわくわくしています。
一年前に発掘した範囲もきちんと表面に被さった土を掘りあげたので、きれいになりました。

DSCF9688
明日も窯の範囲確認をめざしてがんばります。

さて、晩ご飯は補給の時間。
今日の担当は料理が下手といったんですけど、すごく美味しいシチューができました!

写真 2
発掘調査でも色々な才能をみせるでしょう。

(R)

頑張って掘り下げた一日

本日は大雨警報が出たために恐れていましたが、幸運にも朝にちょっと雨が降ってから止みました。

雨男がいなかったからでしょうか。

長袖・長ズボンも含めて、虫除け対策をちゃんとしてから作業入りました。

DSCF9604

天気がよかったのおかげで、作業は本日たいぶ進んでいます。

拡張した調査区を掘り進めて、黄色の流土層を80cmも堀削しました。
かなり力の作業ですが、みんな頑張りました。うん、ホント頑張った。

DSCF9627

掘り進めていくと、遺物がはじめて出てきました。窯関連の土層がみえてきて、慎重さも必要となってきました。
黄色層の下は灰原層や遺物たくさん入ってるオレンジ色の土層があります。明日からは窯の構造を判明するために、さらに掘削をすすめていくつもりです。今後、どのような窯構造がわかるかな、と、みんなと楽しみにしています!

さて、毎日作業が終わってからは、発掘道具をきれいに整理します。

土が被ると錆の出る可能性が高いので、道具が長く使えるようにしています。

DSCF9664

(ちなみに真面目に作業しながら、現場のあたりで暮らしている生物とも仲良くしております。)

DSCF9643

(R)

調査区1の拡張

8月24日

本日も雨が断続的に降っていて、作業が残念ながらあまり進みませんでした。現場では雨が降ると、掘削しているところが濡れてしまい、土層の変わり目などが分かり難くなってしまいます。ですので、雷が鳴ったり、雨が降りそうになったりすると、作業を止めて遺構にブルーシートを被せた後、組み立てたテントの中で雨宿りをします。雨が止むとまたブルーシートを外して作業をすぐ続けることができます。

例年通り、湿気や蚊なども大変ですが、去年と同じように雨が最大の敵になりそうです。

本日は現場に着いたら、雨水がかなり溜まっていたので、水を汲んで、ブルーシートを外しました。

DSCF9573

次に、昨日設定した拡張トレンチの掘り下げに入りました。拡張区が二つあって、調査区1の窯の広がりが明らかになりそうな場所に設定しています。

DSCF9584

作業が平行する二つのトレンチで同時に進んで、お互いに状況を確認しながら土層を読みながら掘り下げていきました。まず、表土、という私たちが毎日歩いている一番上の層を剥ぎました。その下に黄色い流土が分厚く入っていました。

DSCF9589

この流土の掘削の途中で雨が激しく降り始めて、本日の作業が中止になりました。

DSCF9594

遺構が濡れて崩れたりしないように、ブルーシートを掛けてから宿舎に戻りました。

明日に備えて晩御飯をしっかり食べて体力が落ちないように気をつけたいと思います。

(J)

去年の検出面を露出

8月23日

断続的に雨が降る日々が続く。

去年の埋め戻しの際に遺構面を土嚢(どのう)袋で埋めて、その上に表土を被せました。本日は一年ぶりに表土を剥いで、その下に眠っていた土嚢袋を全部取り上げました。

DSCF9516

表土を外したら、詰めてあった土嚢袋が姿を現した

DSCF9534

土嚢袋が全面的に出ている

DSCF9551

土嚢袋を外したら、去年まで掘削していた遺構面が出た

しかし大量に発生した土嚢袋を何とか処理しなければなりません。そこで、調査区とその東側にある崖の間に土嚢溜めを作りました。これは、今後の掘削で出る土を溜めておく場所として設けました。

DSCF9538

調査区1の奥に詰めた土嚢袋が見える

また、調査区1の窯の広がりをより鮮明に把握するため、二つのトレンチを新たに計画しました。これらは調査区を繋ぐ南北方向に走る配置で、明日から拡張する予定です。

慣れてくると、怪我などをしてしまうこともありますので、気を引き締めて明日また頑張りたいと思います。

(J)

テントの設置

本日は、現場の作業が本格化しました。

午前は、業者が持ってきてくれたテントを組み立て、機材や荷物をおく拠点を作りました。雨も降り出しそうな天気であったので、大学院生から学部生までが協力して急いでテントの設営などをしました。かなりの力仕事でした。

DSCF9497

やぐら機材の搬入

テント組み立て後

テント組み立て後

お昼ご飯を食べた後、午後の作業に入りました。

DSCF9490

2班に分かれ、1班は機材の整理を行いました。もう1つの班は、一年ぶりの山道で草木が生い茂っていたため、車が通りやすいように草をよける作業などを行ないました。

DSCF9469

表採資料の観察中

力仕事が続く明日に備えてしっかり睡眠を取ります!

また、ブログの更新に関してですが、諸般の事情により遅れてしまっています。大変申し訳ございません。

(J)