待兼山古墳群の発掘調査も終盤となってきました。
地点2(待兼山2号墳)では、土層観察も大詰めを迎えてきました。
大スコップや鶴嘴(ツルハシ)といった大道具ではなく、
竹べらなどの小道具で土層断面を清掃し、解釈していきます。
日本考古学の父・濱田耕作博士は、その著書『通論考古学』において
発掘調査最後の武器は、指端竹べらであると述べられています。
遺物を取り上げる際の注意事項として書かれたものですが、
土層を見極めるうえでも指端の感覚は大切です。
今日も砂礫の含有量や色調、そして指端の感触をもとに土層の分層作業を頑張りました。
調査成果の記録を遺すことも大切な作業です。
本日は地点2におけるもう一つの調査区の写真撮影をおこないました。
発掘調査の状況は、いつでもみれるものではありません。
そのため、正確な記録を写真におさめて公開することが学術上重要となるわけです。
濱田博士は、写真は器械による最も重要な記録であり、
写真を用いた印刷物によって考古学研究に革命がおこったと述べられています。
将来の考古学者のためにも誠心誠意、撮影にのぞみました。
土曜日の本日は、来客もさまざま。
研究者、高校教員の方、卒業生、他学部の方々。
こころのこもった差し入れと激励にこたえられるよう、
残りの作業を頑張りたいと思います。(T)