待兼山古墳群調査の終了

約1ヶ月間つづいた待兼山古墳群の調査も本日で最終日です。

調査団一同名残を惜しみながら、作業を行ないます。

地点2(待兼山2号墳)では、最後に詰めの記録作業を行なっています。

埋め戻してしまうと手に入れられなくなる大事な情報のため、

取りこぼしのないよう、しっかりと記録を行ないます。

記録作業が終われば、埋め戻し作業です。

すでに地点1と地点3の埋め戻しは終わっていますので、

地点2を埋め戻せば今年の発掘調査は終了となります。

調査区から掘り上げた土を、学生全員で運び、再び調査区へと埋め戻していきます。

調査区に土を運んでは踏み固めを繰り返し、調査区を掘削する前の状態へと戻します。

 

さて、名残は尽きませんが、地点2の埋め戻しが完了すれば、

全ての調査区の埋め戻しの完了です。

これをもちまして、待兼山古墳群の発掘調査に幕を下ろすこととなります。

最後に、短い間ではありましたが、当発掘調査のブログをご愛読いただきまして、ありがとうございました。皆様の日々のコメントは当調査団の大きな励みとなりました。

今後ともブログを通じて発掘調査成果を発表していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。(M)

最後のひと踏ん張り

本日も、昨日から引き続きの晴天です。

ほとんどの調査区も埋め戻され、残る1つの調査区である

地点2(待兼山2号墳)の記録作業、そして撤収作業を同時に行いました。

午前中は、土層を記録した図面に、それぞれの土層の様々な特徴を記す作業(土層注記といいます)を行いました。

一つ一つの土層を丹念に見極め、正確に記録していくことで、実際に土層をみていない方にも、その土層の情報を伝えることができます。

土層の注記も終わり、午後からは調査区全体、そして調査区の壁(断面)の写真を撮る作業にうつりました。

調査区も長いため、どのアングルから写真を撮影するかを考えながらカメラを構え、後は曇るのを待ち、撮影を行います。

しかし、ただ待っているだけでなく、時折、園芸用の噴霧器で水をふきかけ、土層の違いを明瞭するなど、休む暇はありません。

 

また、記録作業を行なう一方、機材の撤収を行う班も設け、調査地点から大学の倉庫まで機材を運びました。

朝は写真のように元気に出発しましたが、3往復目には息もあがり、9月も終わりに近づき涼しくなってきたにもかかわらず、汗が滴り落ちていました。

しかし、何とか大半の機材は搬出することができました。

 

残っている作業もあとわずか、今までの疲れが出る頃ですが、記録等に不備がないよう細心の注意を払って、調査を進めていければと思います。(T)

撮影と片付け

本日は、雲が一つもない青空の下で作業をしました。

掘削や土層の細かい検討が大体終わりましたので、

撮影と片付けに入りました。

待兼山古墳2号墳の第1トレンチを上から撮影するため、2段のやぐらを組み立てました。

見晴らしが良く、遺構の全体像も分かりやすい写真を撮るには、こういったやぐらを使います。

しかし、撮影を始める前に、トレンチの周辺の清掃を行いました。

その後、二つの班に分かれ、片方が撮影をしている間、もう一つが道具などの片付けに移りました。

使わない道具は撤収しました。

使い方に慣れてきた道具類を片付けるのが少し悲しかったです。

愛用のガリ、またお会いしましょう・・・

※ ガリ平滑に土を削りだす際などに用いる両刃の鎌。

片付けが済んだら、第2トレンチの埋め戻しを行ないました。

涙汗を流しながら時間をかけて掘削したトレンチが、一瞬にして埋まりました。

調査もあとのこすところ、2,3日の予定。

気を引き締めて、また明日から頑張りたいと思います(J)。

調査も終わりへ

本日は、お昼でも肌寒い秋晴れの1日でした。

調査もとうとう終わりに向かっています。

地点1・3では、埋め戻しを行いました。

埋め戻しとは、発掘調査を行ったあと、掘り上げた土を戻して

調査前の状態にすることを言います。

みんなで阪大恒例埋戻し体操を行って・・・・

さあ、埋め戻しです!

まず、掘り上げた土をはこんで、調査区内に埋めていきます。

 

途中、下の写真のように土が流れてしまわないように、

かけや(木槌の別称)などを用いて叩いていきます。

こうした作業を繰り返していくと・・・

下の通りすっかりもとの状態に戻りました。

発掘調査区をそのままにしてしまうと、

雨水などがたまったり、遺構が検出された場合には風化や流土でそれが傷んでしまいます。

そのため、埋め戻し作業は、遺構などを護るために

大変重要な作業なのです。

一方、地点2では、昨日まで行っていた

土層の図面作りなどの記録作業を引き続き行いました。

地点2も明日には、写真撮影に入る予定です。

調査も残すところあと数日・・・

気を引き締めて頑張りたいと思います(K)

 

待兼山2号墳

待兼山古墳群の発掘調査もいよいよ大詰めです。

地点2(待兼山2号墳付近)に設定した調査区では、

土層を検討した結果、盛土である可能性が高くなってきました。

そして、測量図をもとに周辺地形を検討し、

北摂山麓から西摂平野までを一望できるという立地条件から判断すると

待兼山2号墳は盛土によって築造された古墳であることが判明してきました。

写真をみていただくと、ブロック状に積まれた土の堆積が、おわかりいただけると思います。

今日は、この盛土を図面に記録する作業をおこないました。

既に調査の終了した地点では、明日以降調査区を埋め戻していきます。

地点2の調査が終了する最後まで、気を引き締めて作業に臨んでいきたいと思います(I)。

 

発掘調査最後の武器

待兼山古墳群の発掘調査も終盤となってきました。

地点2(待兼山2号墳)では、土層観察も大詰めを迎えてきました。

大スコップや鶴嘴(ツルハシ)といった大道具ではなく、

竹べらなどの小道具で土層断面を清掃し、解釈していきます。

日本考古学の父・濱田耕作博士は、その著書『通論考古学』において

発掘調査最後の武器は、指端竹べらであると述べられています。

遺物を取り上げる際の注意事項として書かれたものですが、

土層を見極めるうえでも指端の感覚は大切です。

今日も砂礫の含有量や色調、そして指端の感触をもとに土層の分層作業を頑張りました。

 

調査成果の記録を遺すことも大切な作業です。

本日は地点2におけるもう一つの調査区の写真撮影をおこないました。

発掘調査の状況は、いつでもみれるものではありません。

そのため、正確な記録を写真におさめて公開することが学術上重要となるわけです。

濱田博士は、写真は器械による最も重要な記録であり、

写真を用いた印刷物によって考古学研究に革命がおこったと述べられています。

将来の考古学者のためにも誠心誠意、撮影にのぞみました。

 

土曜日の本日は、来客もさまざま。

研究者、高校教員の方、卒業生、他学部の方々。

こころのこもった差し入れと激励にこたえられるよう、

残りの作業を頑張りたいと思います。(T)

真剣な眼差しで

いよいよ調査も終盤。

本日は地点1・地点2でも調査区で得た情報を図面に記録する作業が本格化し始めました。

こうして作成される図面は、後々まで残る重要な情報です。

そのため、図面を作成する学生の眼差しはまさに真剣そのものです。

(写真左:地点1  写真右:地点2)

地点2の別の調査区では、壁面にみられる土層の堆積状況を検討しています。

堆積している土が、斜面の上部から流れて堆積した土なのか、それとも人為的に盛られた土なのか、はたまた元々存在した山の土なのかを判別することは発掘調査の重要な技術です。

私たちは度重なる修練を経て土を見る「」を養っているのです。

調査も記録作業がメインとなってきましたので、さらなる情熱を残りの作業に注いでいきます。(M)

今年度の調査では現地説明会はございません

今日のブログでは、まずお知らせしたいことがあります。

大阪大学考古学研究室では、発掘調査の成果をみなさまに知っていただくため、これまでの調査では発掘調査現場で説明会を実施してきました。

しかし、本年度の待兼山古墳群の調査では、古墳の範囲確認をおもな目的としており、

今後、継続的に考えなければならないことも多く、現地説明会を行わない予定です。

待兼山古墳群は、今後も調査を行っていく予定ですので、次回以降の調査において、今回の調査成果もあわせて、みなさまに見ていただきたい調査成果が上がりましたら、

ぜひお伝えさせていただきたいと思います。

さて本日は、土層を見分ける作業と、土層を記録する作業を行いました。

地点2(待兼山2号墳付近)では、慎重に土を見分けながら掘り進んでいます。

次第に積み上げられてくる土の量も増えてきました。

 

地点1(待兼山1号墳周辺)では、土層の堆積状況が把握できてきたので、

それを記録する作業にうつりました。

まずは調査区の断面(壁の部分、ここで土層の堆積順序が把握できます)、

そして調査区全体の写真を撮影しました。

地点1は日当たりが良いため、雲をじっくり待って撮影を行ないます。

雲がかかって、日差しが無い方が影ができず良い写真が撮れます。

 

さて、調査も終盤にさしかかり、連日の調査で皆も疲れがたまっているようです。

そんな発掘調査において、皆の力の源となるもの…

疲れに効くのはやはりこれです。

(地点2にて)

これで明日も頑張れます!!(T)

掘レドモ、掘レドモ・・・

本日は、立派に晴れていましたので、作業が順調に進みました。

地点3調査区の作業が終わり、地点1と地点2だけになりました。

地点2(待兼山2号墳付近)は、土層の堆積状況を把握しようとしています。

この土層はいったい。。。と声をそろえる地点2組でした。

その一方で、地点1(待兼山1号墳付近)においては、一昨日より2倍も深く掘り下げました。

半分ぐらい掘ったところで、地山と思っていた層から現代物が出土。

OH NO!

トレンチの断面の層を確認しながら、次から次へ掘り下げます。

結果として、

130cm近く掘って、ようやくスタートラインに着いたことが分かりました。

未だに待兼山1号墳は、謎に包まれています・・・

ということで、本日は肉体労働と精神的な疲労を感じた調査団一同。

しかし、研究室に戻ったら、

へとへとの掘削軍団の我々を癒してくれたのが、美味しい晩ご飯とデザートでした。

私たちの努力が報われた、と思える一日でした。

明日も頑張りたいと思います(J)。

雨・・・ 

今日は朝からあいにくの雨模様。

ということで発掘作業は一休み。

その代わりとして、室内にて図面と遺物の整理を行いました。

ここで、遺物の整理について少しだけ紹介したいと思います。

 

まずは、土の中から出てきた遺物の土を丁寧に洗い流します。

洗うといっても、水でジャブジャブ、ブラシでゴシゴシと洗うわけではなく、

遺物を傷つけないよう、毛先の柔らかい筆で土を落としていくのです。

 

乾燥したら、

遺物に出土した場所や日付などの情報を書きます。

 この作業のことを「マーキング」と言います。

 

その後、土器片同士で接合することが出来るか調べていきます。

遺物はばらばらの状態で出土することが多いため、

元々の形により近く復元するために、

破片同士が接合するかどうかのチェックを行います。

 

こうした作業は遺物をしっかり検討するためには欠かせない基礎的な作業です。

 

明日は天気も回復し、外での作業が出来そうです!

 調査もいよいよ終盤戦。

実り多い調査となるよう、もう一息頑張ります! (K・R)