いよいよ調査もクライマックスを迎えています。
現場での記録作業も仕上げの段階に入って参りました。
発掘調査といえば、ともすれば地面を掘り進め、出土遺物や建物などの痕跡を探りあてるといったことを想像する方が多いと思いますが、出土したあとの記録作業のほうが時間もかかり、神経を使います。
記録作業は写真も重要ですが、実測図の作成も大切です。
発掘調査では大きく2種類の図面が必要となります。
1つは、土層の堆積順序を記録する断面図、
もう1つは、遺構の範囲や出土遺物の位置関係、土層の平面的な広がりを記録する平面図です。
1mmのマス目の方眼紙に0.1mmの誤差も許されない図面の作成は、
緊張と同時に腕の見せ所。
デジタル機器を用いた計測をすればいいのでは?とおっしゃる方もおられるかもしれませんが、
計測点にコンベックス(通称コンべ、正式名称コンベックスルール、英語ではSteel Tape、工作用巻尺のこと)をあて、
針のように尖らせた鉛筆で方眼紙の座標上に点を落とし、
実物を凝視しながら、点をつなぎ、図化する作業をしてはじめて分かることも少なくありません。
今回の調査では、窯壁の微妙な立ち上がり角度であるとか、灰原の堆積過程など、
観察に観察を重ねることで、遺構の理解が深まりました。
アナログにはアナログの味があり、その妙味を身につけることも考古学の修行では大切です。
これまで西山1号窯の調査では、断面図と平面図の両方を作成してきました。
そして当然のことながら、断面図と平面図は整合的でなければなりません。
たとえば、ある土層が断面図では幅1.50mなのに、平面図では幅1.45mとなっていたりすると、「どっちが正しいの!」と困惑してしまいます。
ですので、こういう疑問点が出てきたときには、現地で確認することが大切です。
本日は、この作業を行ないました。
(宿舎で図面の整合性をチェックして、疑問点は翌日の調査でしっかり確認します)
また、窯のなかから出土した遺物も詳細に出土位置を記録しながら、取り上げました。
みぞれが吹きすさぶ調査となりましたが、一致団結して調査を進め、もう終わりがみえてきました。
なお、25日には大阪大学の卒業式・修了式が執り行われ、この日は調査を休止しました。
西山1号窯の調査に携わってきた学生の中にも、新年度を新しい場所で迎える人が多くいます。
また、26日は24日の作業を継続して行なっております。
※ネット環境の不調のため、更新が遅れましたことをお詫び申し上げます
(I&N)